買わない層に買わせる

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iPhoneは売れない。コメント欄を見ても一石を投じていることは間違い無いけれど、デジタルマガジンにはビジネスのある視点が含まれていないように思える。

ひとつ先行例を示そう。任天堂のDS/Wiiがすごいのは「今までゲームをしなかった層」に「ゲーム機(?)を買わせる」ことに成功したこと。この点でPS3やXboxはビジネスとしては完全に的を外してしまっている。もちろん任天堂のハードウェアの価格が安いということもあるので、この例がiPhoneに当てはまると断言することは難しいのだけれど、「買わない層に買わせる」ことがビジネスの戦略として正しい一例にはなっていると思う。

ケータイは誰でも「持っている」けれど、果たして「欲しいもの」を「買っている」だろうか?
デザインや性能、価格など何かしら妥協する要素がありはしないだろうか?
だからこそ、派手なストーンを自分で貼り付け、ストラップをたくさんつけて、誤魔化していることが多いのではなかろうか?
シンプルなデザインのiPhone、おそらく日本で発売されるのは2世代目になるわけだが、これをAppleが日本のユーザの手に取らせた時、「今まで満足できるケータイを買ってこなかった層」に「満足できるiPhoneを買わせる」ことに成功する可能性は無いだろうか?

iPhoneが爆発的に売れたアメリカにはプアな携帯端末か、日本ではあまり売れていない、Willcomなどが売れているといってもケータイとは比較にならない、スマートフォンというチョイスしか無かったので、「ケータイ」が行き渡っている日本市場と比較することは非常に難しい。つまりパイがあるかどうかの確信は持てない。

ただ、この話題性はどうだろう? キャリアが春モデルを発表すればニュースにはなるけれど、それは全モデルを並べたものであって、単一の機種がどのキャリアから発売されるのかだけで、ブログやIT系ニュースサイトのみならず、経済系ニュースサイト、はては音楽系ニュースサイトでも取り上げられている。つまりiPhoneは既に携帯電話あるいは「ケータイ」ではなくて"iPhone"なわけだ。製品がアイデンティティを確立することは非常に難しいことのはずだけれど、ずっと昔からMacはパソコンではなかったし、iPodも他のMP3プレイヤーとは一線を画してきた。卑近な例では、MacBook AirがAppleのブランディング戦略を明確にしている。Appleにとって重要なことは性能ではなく『アイデンティティ』なのだ。

万人に受け入れられることだけがビジネスではなく、『アイデンティティ』を欲しがるニッチな市場に十分なボリュームが見込めるのであれば、ビジネスは成立する。Apple、そして日本での1st.キャリアになったSoftbankは「十分なボリュームがある」と判断したということだろう。

もう一つ指摘しておきたいのは、やはりシナジー効果だろう。

まずiPodはもうみんな持ってます。わざわざ携帯電話を買い換えてまで1つにまとめようという人はいません。

iPodを使うのに便利だという理由でMacを買う人が増えていることはわざわざ指摘するまでも無いのだが、iPodに加えてiPhoneを買う、ということも十分考えられなくは無いだろうか?
あるブランドでバッグも財布も統一している人は結構いると思うのだけれど。