RHEL5の目標は主に4つ。
- Virtualization
- プラットフォームの集約
- ID管理とセキュリティの統合
- クライアントと開発者向けの機能強化
もう少し具体的に見ていきます。
ただし、いくつかの項目はRHEL5.0では技術プレビューとして同梱され、プロダクションシステムではサポートが提供されません。おそらくサポートが提供されるようになるのはRHEL5.1以降となるでしょう。
Virtualization
- Xen
OSの仮想化を可能にします。 - RHNのVirtualization対応
OSとアプリケーションのトータルな管理フレームワークであるRHNが、仮想化されたゲストOSの管理も可能とします。
プラットフォームの集約
- ネットワークストレージ(AutoFS、FS-Cache、iSCSI)
FS-Cacheはレイテンシの大きなファイルシステムのパフォーマンスを向上します。具体的には、RHEL5ではNFSが対象です。 - GFS2(シングルノードGFS/クラスタリング)
アップストリームにマージされたファイルシステムです。ダイナミックにiノードを管理し、32ビットで16TB、64ビットで8EBをサポートします。 - InfinibandとRDMA(OpenFabrics.Org)
高速なインターフェース規格であるInfinibandとRDMA(Remote Direct Memory Access)サポートを提供します。
ID管理とセキュリティの統合
- シングルサインオンとSmartcardの統合
Smartcardは日本では一般的にICカードと呼ばれていますが、RHEL5で利用可能になります。
クライアントと開発者向けの機能強化
- Stateless Linux(デスクトップ・サーバ・仮想化)
Fedoraプロジェクトで進められている、ホストにそれぞれstate(状態)を保持しないで管理性・セキュリティを向上しようとする実装。 - デスクトップ(GNOME、X.Org 7.1、ラップトップPC向けの改良)
無線LANサポートの向上、3Dデスクトップ、NetworkManagerの強化など、多岐にわたる改良が含まれます。 - Kexec/Kdump(DiskdumpとNetdumpの置き換え)
高速なリブート機能であるKexecと、Kexecを利用した確実なダンプ機能であるKdump。 - 解析・開発ツール(SystemTap、Frysk)
動作中のカーネル内部を監視・レポートできるSystemTapや、”常時オン”のシステムモニタリング&デバッグツールであるFrysk。 - 新しいドライバモデル
kABIデータベースを利用するサードパーティ製のドライバの一元的な管理・配布方法の統合。
各項目の詳細は次回以降で。