RHEL5の概要 1

どのあたりが変更になるんだろうということで、少しずつまとめてみようかと。とりあえずPublic Beta 2ベースで書くことになるんですが、GA(General Availability)版リリース後に修正できるところは修正する方向で。

まずはRHEL5全体を鳥瞰してみると、Virtualization、つまり仮想化がやはりメイン。ただしRHELの方向性としてはOSを仮想化するだけではなく、ストレージやアプリケーションといったソリューション全体を対象としている。

OSの仮想化に関してはXenが統合されるもののGAではx86/x86_64のみがサポート対象。ia64/ppc64についてはテクノロジープレビューという注記がリリースノートにあり、これはプロダクション、要するに本番サーバで利用することはサポート外ということになりそう。また、KVMもカーネル2.6.20にマージされるのでFedora 7で利用することが早晩可能になる。RHELのアップデートのリリーススパンが半年ということと、アップデートではかつて大きなEnhancementを行っていないことをあわせて考えると、RHEL5途中でのKVMの採用は無い可能性が高い。もちろんテクノロジープレビューとして統合されることは十分に考えられる。

ストレージの仮想化の中心技術はカーネル2.6.19にマージされたGFS2の元となっているGFS=クラスタリングファイルシステムとLVM2(Logical Volume Manager)となる。RHEL5ではGFSとGFS2のパッケージが分かれているが、これはGFS2がGA版ではテクノロジープレビューであるために敢えて分けているようにも見える。GFSはRHEL4ではレイヤードプロダクト、つまりオプションだったわけだが、RHEL5ではインストーラCD-ROMの/ClusterStorageディレクトリに同梱されており、むしろOSの一機能としての位置づけが強い。従って、Red Hat Global File Systemという製品がそのまま残るのかどうかは不明と言える。

アプリケーションの仮想化を担うのは、RHEL4までのRed Hat Cluster Suite(RHCS)。XenによってOSのLive Migration、OSのインスタンスが動作したままハードウェアを移動すること、が可能になる上、RHCSを利用することでアプリケーションも自由にOS・ハードウェアを移動できるようになることを意味する。IAサーバでは真新しく映るこの技術は、メインフレームなど古くからあるプラットホームでは珍しくないが、価格が全く違うということとLinuxの歴史がたかだか15年であることを考えると、オープンソースの技術の進展がいかに速いかを実感できる。なお、RHEL5でのRHCSはインストーラCD-ROMの/Clusterディレクトリに同梱されており、GFS同様、OSの一機能としての位置づけとなりそう。ただし、GFSはRHCSのリソース管理フレームワークをベースとしており、LuciやRicci、OpenAISといった実装への変更は、GFSにも多少なりとも影響を及ぼすはず。なお、RHEL3まではあったQuorumディスクはRHCS4 Update 4から新たに実装し直され、RHEL5でも同様、Quorumディスクを利用できることになった。

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