そろそろ書いてもいいかしら、アメリカでのテロに関連して。
terrorismはterrorと語源を同じくする通り、人心をいかに恐怖に陥れるかが肝要なので、terrorismの人的被害数はもちろんのこと、現代社会においてはメディアを利用してその行為を広める必要があります。人が多数集まる場所に爆発物を仕掛ける際にも、二次的被害を拡大する方策が必要です。例えば私自身がとても恐怖を感じるのは、有楽町マリオン。ガラス張りの大きな空間は、映画のチケット待ちで数百人が並ぶことがあり、中心部に爆発物が仕掛けられた場合、爆発物による一次的被害だけではなく、降り注ぐガラスの破片による二次的被害もかなりの数に上ること思われます。
ハイジャックだけではなく、その機体をビルに激突させるという手法は、人的被害という点で最大級のものでしょう。また、メディアによる効果は今回の事件でも遺憾なく発揮されたと思います。
こういった観点から見ると、今回のテロは非常に成功したといえますが、それは戦術面に限った話です。
しかし、戦略面で正しいからといって戦術面も正しいわけでもなく、「アラブの大義」を掲げてクェートに侵攻したイラクは、アメリカを中心とするNATO軍の航空戦力を正しく評価できず、戦車を中心とする陸戦に主眼をおいたため、ことごとく戦術面で遅れをとり湾岸戦争で敗れました。
さて、今回のテロの主謀国が仮にタリバンの支配するアフガニスタンであった場合(首謀者と見られるラディン氏をかくまっているので)、
- アフガンはいずれの利益代表者でもない。イスラム原理主義の利益代表はアラブ諸国である。アフガンという国が地球から消滅しても、経済的規模(人口2000万弱、GDPは不明)などを考慮すると、国際社会にさして影響がない。
- 仮にアメリカがアフガン侵攻を行った場合、「正義」という錦の御旗を掲げている以上、議会が弱腰になることはあり得ない。これは冷戦時の「共産主義との戦い」という大義より、アメリカ人が好むものである。
- ブッシュ大統領の父は湾岸戦争時に、支持率の急上昇という民主政体における最大の果実を得ている。景気の減退というマイナス点を補ってあまりある。
- 本土への空爆を経験したことのないアメリカに、事実上「空爆」を行った以上、アメリカは今回の事件を宣戦布告と捉える。したがって、イラク空爆でon stageにあるserviceが、いつアフガンを向いてもおかしくはない。このように戦略面では明らかに間違った選択と言えるでしょう。
さてこういった行為を行う国家や宗教に対してどのように「処理」をすべきかについては、我が国においては織田信長が、中国においては項羽がすでに解決策を示しています。そう、皆殺しです。禍根を残すからいけないのであって、残さなければ良いと先人は考えたわけです。反撃する武力を削ぐレベルでやめる(湾岸戦争)としても、イスラム原理主義によるテロである以上、最後の1人でも「聖戦」をやめることはないでしょうから、論理的な最善解は皆殺しということになってしまいます。テロに勝つというのは、そういうことでしょう。
今回の件で私自身はますます宗教が嫌いになりました。研究が進んで人と類人猿の境目を定義することが難しくなったのと似ていますが、ファシズムと宗教の境目が分からないからです。
私がここで好き勝手書けるのも民主主義あってのことなので、今回の事件を強く非難するとともに、亡くなった方たちのご冥福を祈りたいと思います。